会員のビジネスモデル事例(㈱グローバルトラストネットワークス・東京宅建所属)/全宅連 不動産総研【RENOVATION】より

調査・レポート

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  • 2019.03.04

全宅連不動産総合研究所では、住宅確保要配慮者への居住支援や街づくり・地域活性化、空き家対策等、ハトマーク会員をはじめ全国の事業者が自らの事業を通じて社会や地域に貢献し、ビジネスとして成立させている先進的なビジネスモデルを自ら取材し、毎年報告書『RENOVATION』としてとりまとめ、ホームページで公表しています。

今回は『RENOVATION2016』に掲載の株式会社グローバルトラストネットワークス(東京)をご紹介します。
なお同社は、3月6日に全宅管理が開催する無料セミナーで登壇します。
(3月6日開催・全宅管理セミナーの内容はこちら

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外国人専門の保証会社として、入居審査からクレーム処理まで全て対応
―「日本を好きになってもらう」ために生活インフラサービスを提供―
株式会社グローバルトラストネットワークス 代表取締役 後藤裕幸氏

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(この記事は全宅連不動産総合研究所が2017年6月に発行した『RENOVATION2016』に掲載された内容の転載です。掲載内容は2016年取材当時のものです。)

■データに基づく与信管理体制を構築

——外国人専門の家賃保証サービスを思いついたきっかけは?

後藤社長:
私は学生時代に中国人や韓国人の留学生たちとIT企業を立ち上げ、卒業後には日本企業が海外に進出する際のコンサルティングとマーケティングの会社を起業したのですが、その中で外国人が日本に来た際に保証人になってくれと頼まれることが多くありました。収入がちゃんとあっても保証人を立てられないから住宅が借りられないという現実を目の当たりにして、これを仕組みにしようと考えたのがきっかけです。

——審査方法も含めノウハウをどう構築されたのですか?

後藤社長:
最初は右も左もわかりませんでしたので、1件ずつ対応しながら外国人のバックグラウンドやどういう行動をしているのかについて統計をとり、ロジックを組み立てながら対応上必要な事項を明らかにしていきました。実際、データから国ごとの傾向はでますが、国籍だけでひとくくりにできないことも多い。ビザの種類だけでも27種類、国も200カ国以上あり、主要来日者だけ見ても数10カ国に上ります。ですが今までの豊富なデータベースをもとに、与信管理などもしっかりできるようになりました。弊社の保証件数は今期計画(2016年)で年2万件、累計5万件と拡大しています。


■母国の両親にも連絡する“専門性”がコアシステム

——とはいえ、まだまだ外国人の入居を不安視するオーナー・管理会社も多いですが…。

後藤社長:会社を立ち上げるときに100社以上の不動産業者を訪ね、外国人に部屋を貸さない理由を聞いて回りました。そうすると家賃滞納というお金の問題だけでなく、ゴミ出しの問題や夜中に騒ぐなどのトラブルを懸念する声が多かったんですね。そこで、審査だけでなく生活上のトラブルを起こさないよう入居者を教育指導する必要があると気づきました。

さらに万一トラブルが起きた場合もこちらで対応する仕組みを作りました。当社では「生活サポート部」という部署を設け、これらの対応を一手に引き受けています。

また入居者には、重要事項説明の理解が進むように、日本で生活するためのポイントや一番トラブルになりやすい部分をフォーカスして、現地語で7分半にまとめたDVDを渡しています。トラブルが発生しないための入居者教育と発生後の対応、言葉の部分についても対応するようにしたことで、ようやく「外国人に部屋を貸してもいい」というオーナーが増え、管理会社も理解を示してくれるようになりました。外国人を受け入れたことで入居率が大きく改善したという事例も増えてきています。
後藤社長:当社の最大の特徴は、外国人を保証する際は全て現地の両親に電話連絡している点です。日本の商習慣や契約内容、保証システムなどを説明した上で、トラブル発生時には本人と連絡するなど協力してほしい旨を依頼します。それらについて両親のコンセンサスがとれて初めて保証することを決めています。

このシステムが大きく効果を発揮したのが、東日本大震災の時でした。多くの外国人が帰国しましたが、全ての両親と連絡を取り本人の安否確認や再来日の意思の有無を把握し、残家賃の支払い、残置物の処理について全て対応できたため、当社もオーナーも被害を最小限にすることができました。当社と契約している管理会社からは「“専門”の意味がわかった」と言っていただけた上に、この対応を聞き及び保証先を当社に切り替えてくださった管理会社もありました。

——それが多言語によるライフサポート「TRUST CALL」の重要な部分ということですか?

後藤社長:当社社員(103人)の7割以上が外国人で、ほとんどが3カ国語に対応できます。彼らが直接本人と母国語で相談に乗り対応することで、トラブルの7割は当日に解決し、5日以内では9割以上解決できるようになっています。当社の専門性はここにあります。単純なコールセンターではなく、解決できる対応が可能なこの体制が当社のコアインフラであり、ビジネスを支える大切な軸です。

この形を作り上げるまでは非常に苦労しました。失敗を繰り返しながら、企業として外国人の文化を大切にすることの必要性を学びました。当社の外国人は皆、非常に能力が高い。年間360日営業していますが、働いている外国人は皆日本が好きな人ばかりです。今では社内イベントも多く、社員旅行や懇親会を大事にして、部門を超えてつながり生き生きと楽しんで働ける風土を作っています。


■生活インフラ支援拡大で外国人の生活のストレスを無くす

——家賃保証以外にも、さまざまなサービスを始めています。

後藤社長:大半の外国人は、SUUMOやHOME’Sで物件を見て問い合わせても「外国人だから」との理由で断られてしまう。そこで、当社の保証が使え、外国人の入居が可能な物件を集めた『Best-Estate』というサイトを立ち上げました。ここには、外国人の入居が可能な物件であればどの不動産会社も無料で掲載できます。

日本にやってくる外国人の多くは日本に興味があり、日本のことが好きです。しかし、部屋を貸してくれないなど住居の問題を中心に、嫌な思いをして日本を嫌いになって帰る人が多すぎる。本来、家探しというものは楽しいはずなのに、何軒も断られたあげく、結局は日本人も借りないような物件を斡旋されるなど、外国人にとっては屈辱の経験の連続です。これでは日本のことを好きになってくれない。
後藤社長:アルバイトの紹介を始めたのも同じ理由です。日本に来る外国人の8割は日本で就職したいと思ってやってきますが、実際に就職できるのは25%に過ぎません。日本に来るメリットを与えられない限り日本で学ぶ理由がありません。ですので日本で就職できるようにフォローアップする必要があると思いました。住居を紹介するだけでは来日の動機にはならないし、日本で生活するためには金銭的支援も不可欠です。これについても単純な斡旋だけでなく、外国人からのクレームも集めて、労働法規上ブラックな企業に対しては賃金や労働条件の改善を求めるようなこともしています。

また、㈱リクルートとも提携し、時給1,400円以上のみの高額のアルバイトの紹介も始めました。提携している大学の入居者を企業に紹介しています。留学ビザでは外国人が働けるのは週28時間以内と限られていますが、一方で外国人はもっと働きたいと思っている。だから能力のある外国人に単価の高い仕事を紹介するようにしました。

さらに、2014年1月からは自ら通信事業者になり携帯電話のサービスも始めました。これも外国人にとって日本の携帯電話の契約内容が合わないからです。日本のキャリアは2年の割賦制を強制し解約すると違約金も発生する。これはずっと日本にいることが前提になっている制度です。2年間も日本に滞在しない外国人は、当初無料だと勧誘されて契約しますが、1年後に帰国するため解約すると「機種代に違約金を払え」と言われる。外国人にとってはだまされた思い、嫌な思いをして帰国することになります。そこで、当社が理想とする携帯電話サービスを提供することにしました。解約もスムーズにできて余計な端末を強制購入させない仕組みです。サポートも外国語でできるようになりました。そして2015年からは、海外送金サービスもスタートしています。
このように、これらのサービスを手掛けるのは、「住む、働く、通信、送金」といった外国人が日本に来て必要なインフラを整えていきたいという考えからです。せっかく来日したのなら、彼らには日本を好きになってもらいたいし、希望通りに日本で就職し、世界に日本のよさを広めてほしいと思っています。そのために外国人の生活上のストレスを解消することが事業の目的です。


■企業理念は「外国人の生活を向上させることで国際化及び 世界平和に貢献します」

——受け入れる側は意識をどう変える必要がありますか?

後藤社長:日本にはすでに外国人が230万人居住しており、その比率は都内であれば新宿区は11%以上、港区は9%、豊島区でも7%を超えるほどです。2050年までには1,000万人になるとも言われています。Airbnbも始まり、外国人の受け入れ態勢をどうしていくのかについてはもう待ったなしの時代になっています。つまり「やる、やらない」の判断を考える時期はもうとっくに過ぎ、「どうやるか」ということを管理会社として考える時期に来ていると思います。

日本に来る外国人は入国管理局で一定の審査を受けて入国しています。実際多くの外国人はまじめです。日本人と外国人とを区別するのではなく、一個人として捉えることが必要です。一番大切なのは、日本は今後外国人と共生していかなくてはならないということです。人口が減っていくのだから外国人を呼ばなくてはならない。必要な人材はすでに世界レベルで争奪戦になっています。そのためにも、彼らにとって魅力ある日本にしていかないといけない。外国人を受け入れる必要があるにも関わらずその対応をしないのでは、誰も日本に来なくなってしまいます。

——今後のビジョンを教えてください。

後藤社長:まずは「お客様(入居者)に選ばれる保証会社になる」ことです。お陰様で代理店契約している不動産会社も7,000社を超えました。オーナーと不動産管理会社の皆様には、こちらでソリューションを全て用意するので外国人に心を開いてほしいと思います。

企業理念に「外国人の生活を向上させることで国際化及び世界平和に貢献します」という言葉を入れました。日本に来る多くの外国人に日本のことを好きになってもらいたい。日本を好きになってもらえば、友人がいる国とはケンカをしたくないはずです。誰も好きな友達が住んでいる国と戦争をしたいと思わないでしょう。その気持ちが広がれば、世界平和につながります。世界平和を望むなら日本に来た外国人に日本を好きになって帰ってもらいましょう。

多くの外国人は「日本人は優しいしまじめだ」と言ってくれている。「その日本人のことを学べば我々も成長できるんだ」、と彼らに思ってもらうことが大事です。そして日本で学んだ外国人が世界に羽ばたいてほしいと思います。

外国人は日本人に比べて情報発信能力が高い。2012年に中国で反日デモがあったときも、日本にいる中国人が日本の正しい情報をSNSで世界に広めてくれました。彼らは日本の良さを広め、宣伝してくれます。そのために、当社は外国人の不満を解決する専門集団としての役割を担っていきたいですし、外国人に「日本に来てよかった」と感じてもらえるシステム作りをしていきたい。そして、「日本が素晴らしい国だと発信してもらいたい」と思っています。

【株式会社グローバルトラストネットワークス】
代表者:代表取締役 後藤裕幸
本社所在地:東京都豊島区東池袋1-21-11 オーク池袋ビル2階
営業拠点:新大久保支店、大阪支店、ハノイ支社
設立:2006年7月
事業内容: 外国人専門の賃貸住宅保証事業/外国人専門の不動産賃貸仲介事業/外国人専門の生活サポート事業/外国人専門のアルバイト・就職紹介事業/外国人専門の携帯電話サービス事業

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この事例が掲載されている報告書『RENOVATION2016』の全編は全宅連ホームページからご覧いただけます。

RENOVATION2016(PDF)[20MB]